この記事はこんな方におすすめ!
・MP3とかWAVっていう文字は何を表してるの?何が違うの?
・使い分けの方法は?
・そもそも音声ファイル形式って?
昨今、音楽鑑賞の方法もすっかりスマートフォンやPC上で音源データを再生する方法が主流となっています。
そこでよく目にすることになるのが音声ファイル形式。
「MP3」や「WAV」など見覚えのある方も多いと思います。
しかし、それらがどのような特性を持ち、分類されているかを具体的に知らない人も多くいるのではないでしょうか。
今回は音声ファイル形式の解説、主流で使われているものをご紹介します。
形式名 | 圧縮形式 | 拡張子 |
---|---|---|
MP3 | 非可逆圧縮 | .mp3 |
WAV | 非圧縮 | .wav |
AAC | 非可逆圧縮 | .aac |
AIFF | 非圧縮 | .aiff |
WMA | 非可逆圧縮 | .wma |
FLAC | 可逆圧縮 | .flac |
目次
【1】音声ファイル形式とは?

音声ファイルフォーマットとも。
スマホやPC等に音源を取り込むとデータ化され、それらを音声ファイルと呼びます。
その音声ファイルを取り込む際、音声圧縮等の行程を経るか否かでデータの質、形式が変わります。
各形式によりデータの容量、音質は異なり、基本的に音質が良いほどその分容量も大きくなります。
【2】音声圧縮とは

オーディオ圧縮とも。
音声データのできるだけ可能な部分を削り、容量を節約する技術が音声圧縮です。
元のデータをある程度削って容量を減らすが元の音質には戻せない「非可逆圧縮音声」、圧縮しても音質が劣化しない「可逆圧縮音声」があります。
削った分容量に余裕ができますが、その分音質も低下します。
圧縮せずに音質を損なわずデータ化したものは「非圧縮音声」と呼びます。
【3】拡張子について

その音声データがどの形式なのかを区別するために、ファイル名末尾に添付されている文字列。
「.mp3」のように「.○○○」とあらわされ、目にしたことのある方も多いでしょう。
ここを見ればひと目でデータの形式がわかります。
【4】音声ファイル形式の種類
以下、ファイル形式の中でも代表的なものを6つご紹介します。
1. MP3
2. WAV
3. AAC
4. AIFF
5. WMA
6. FLAC
1. MP3
正式名称:MPEG-1 Audio Layer-3
拡張子:.mp3
圧縮形式:非可逆圧縮
90年代初頭にドイツで誕生。
最も馴染みのある形式と言っていいでしょう。
音質をそこまで損なわず、元の容量の10分の1程度まで圧縮するため、非常に効率よくデータをやりとりできます。
対応機種も幅広く、時と場所を選ばずあらゆる場面で活躍しています。デモ音源を送る時などは容量も軽いので重宝します。
ただ、やはり他の非圧縮方式などよりは劣ってしまうため、高音質のものが求められやすいレコーディング用データなどでは推奨されません。
MP3対応の音楽プレーヤーの普及は、人々が音楽に触れる時間を大幅に増やしました。
2. WAV
正式名称:Waveform Audio Format
拡張子:.wav
圧縮形式:非圧縮
WAVEとも表記されます。
マイクロソフトとIBMが90年代初頭に共同開発した形式です。
圧縮を行わない非圧縮形式のため音質の劣化が起こらず、高音質で音源を取り扱うことができます。
こちらも幅広い機種に対応しており、作曲やレコーディング音源のやりとりで特に多く使われています。
ただ非圧縮のぶん容量も大きいままなので、曲をプレーヤーに沢山入れて持ち運ぶ、というような用途には向いていません。
3. AAC
正式名称:Advanced Audio Coding
拡張子:.aac
圧縮形式:非可逆圧縮
90年代半ばに誕生した形式。
MP3の後継として開発されました。
動画ファイルの形式でよく知られるMP4の音声部分を担当する圧縮方式、と言ったところでしょうか。もちろん単体で使用できます。
後継というだけあって、MP3より音質は少し優れているようです。
4. AIFF
正式名称:Audio Interchange File Format
拡張子:.aiff
圧縮形式:非圧縮
Apple社が開発した規格で、macOSの標準形式です。
WAVと同じく非圧縮音声形式であるため、こちらも高音質。
基本的にmacOSで扱う前提で作られているためか、windows上では再生できなかったり、するにしても一手間かかったりと互換性は他の形式ほど高くはないようです。
音声データのやりとりをする時、相手の再生環境が不明な場合はWAV等を使った方が無難かもしれませんね。
5. WMA
正式名称:Windows Media Audio
拡張子:.wma
圧縮形式:非可逆圧縮
その名の通り、windows向けにマイクロソフトが開発した音声形式。
圧縮効率はMP3よりも高く、音質をあまり損なわず元容量の20分の1程度まで抑えることができるようです。
上述したようにwindows向けに開発したためかそのままだとmac上では再生できず、専用のアプリ等が必要になります。
こちらの形式も、相手の環境がわからない時は無闇に送らない方がいいかもしれません。
6. FLAC
正式名称:Free Lossless Audio Codec
拡張子:.flac
圧縮形式:可逆圧縮
上記でご紹介した形式は、音質の劣化覚悟で圧縮する「非可逆」か、元から圧縮しない「非圧縮」でした。
ですがこのFLACは、「圧縮で容量を抑えつつ、元データの質も損なわない」欲張りな可逆圧縮形式です。
ただMP3等の非可逆形式ほど容量を抑えることはできず、元データの2分の1程度までしか圧縮できないようです。
現在普及が進んでいるハイレゾ音源で配信されている音楽は、FLAC形式の物が多いとのこと。
【5】各形式の音質・波形を比較

続いて各音声ファイル形式が聴覚的、視覚的にどう違っているか見ていきましょう。
今回はMP3、WAV、AACの三つを比較していきます。
※本サイトの仕様上WAV、AACのデータを埋め込みできないため、代わりにSoundcloudにアップロードしました。
1. MP3

2. WAV

3. AAC

聴いてみていただくとわかるのですが、それぞれにあまり違いは感じられないと思います笑。
「圧縮で音声データを削る」といっても、人間の耳では知覚しづらい領域の部分なので、普通に聴く分にはあまり影響はないと言えます。
強いて言えば非圧縮音声のWAVが音が太めで、波形も整っているように見える、といったところでしょうか。
それでも言われなければ気付けないくらいの違いかと思われます。
【6】使い分けの方法
「こんなにいっぱいある中どれを使えばいいの?」と悩んでしまいそうですが、主流で使われているものは限定されてきます。
その中でも特にMP3とWAVを抑えておけば問題ないと思います。
デモ音源や録音メモなど、用途が自分や身内向けであれば容量の軽いMP3を。
レコーディングや配信など、対外に発信するようであればWAVを。
ちなみに私が音声ファイル形式について無知だった頃、Windows環境の方にAIFF形式の音源を送ってしまい、大目玉を食らった経験があります。当然、修正やらで二度手間になってしまいました。
無駄に時間を食わないためにも、相手の環境は事前に聞いておきたいところです。
【7】最後に
以上、音声ファイル形式について解説させていただきました。
今回紹介した以外にもまだまだ沢山の形式が存在します。
事実、今記事を執筆するにあたり私自身も知らなかった規格が次々と出てきて選別に迷いました笑。
音声ファイル形式については「世に多く普及しているもの=正解」で考えて問題ないと思われるので、それに素直に従った方がスムーズでしょう。
まずはメインストリームに慣れて、それから用途に応じて使い分けていきましょう。
関連記事
【Hz】サンプリングレート・ビット深度・ビットレート解説【bit】