この記事はこんな方におすすめ!
・付属のギター音源に不満
・ギターは弾けないけど音は欲しい
・無料かつ高クオリティの音源が欲しい!
現代の音楽になくてはならない存在のギター。
バンド・打ち込み問わずあらゆるジャンルで使われていますが、こんな悩みを持つ方も多いはず。
「楽曲にギターのパートを入れたいが弾けない…」
「生のギターを録音できる環境にない…」
「使っているギター音源の質に不満が…」
「有料音源はハードルが高い…」
私もその一人で、「ギターは演奏できない、でも手持ちのエレキ音源にしっくりこない…」と悩んでおりました。
そんな同士たちに朗報。
コスパ最高&高クオリティのギタープラグイン、「UI Standard Guitar」をご紹介します。
※今回は長くなるので、3つの記事に分けて解説いたします。
【Part.1】ではプラグインの紹介、導入方法、基本的な機能の解説を記述します。
具体的な打ち込み方法やアドバンスドな使い方については、別記事にて解説しましたのでそちらもご覧ください。
【Part.2】これが無料!?ギター音源「UI Standard Guitar」解説 ~打ち込み実践編~
【Part.3】これが無料!?ギター音源「UI Standard Guitar」解説 ~コントロールチェンジ編~
メリット
・完全無料
・実際のギター演奏をサンプリングした、良質な音源
・奏法、アーティキュレーションも充実
驚きの完全無料。ここまでのものを無料で使って良いのかと思うほどです。
音源は生のギター演奏が収録されたもので、高音質。
奏法の種類も充実しており、ダウンストロークなどの基本的奏法から、チョーキング、トリルといった特殊な物も網羅しています。
デメリット・注意点
・単体では動作せず、「Sforzando」の導入が必要
・仕組み、操作を覚えるまで少し大変
・質が良い分、PCへの負荷もそれなりにかかる
多くの機能を取り揃えている分、使いこなすまではちょっと大変。
また高機能な分、CPUへの負担もそれなりにかかります。トラック乱立などは避けた方が良いでしょう。
私も導入当初は何がなにやらさっぱりで、「Sforzando?」「音が出ない!」「キースイッチって何?」といった有様でした。
そういった一見とっつきにくい要素も、併せて解説していければと思います。
目次
- 【1】UI Standard Guitarとは?
- 【2】Sforzandoとは?
- 【3】ダウンロード・導入方法
- 【4】DAWでの起動方法
- 【5】各パッチの紹介
- 【6】コントロール画面解説
- 【7】Standard Guitarに収録されている奏法
- サステイン ダウン(Sus Down)サステイン アップ(Sus Up)サステイン オルタネイト(Sus Alt)
- パームミュート ダウン(Mute Down)パームミュート アップ(Mute Up)パームミュート オルタネイト(Mute Alt)
- スライド ダウン(Slide down)スライド アップ(Slide up)スライド イン(Slide in)スライド アウト(Slide out)
- ブラッシング(Brush)
- フレットミュート(Mute Fret)
- ナチュラルハーモニクス(Natural Harmonics)
- ピッキングハーモニクス(Picking Harmonics)
- ハンマリング プリング(Hammer Pull)
- チョーキング 半音(Bending HT)チョーキング 1音(Bending WT)チョーキング 1音半(Bending 1HT)
- ユニゾンチョーキング 自動(Unison Bend Auto)ユニゾンチョーキング 手動(Unison Bend Manual)
- ポルタメント(Portament)
- トリル 半音(Trill HT)トリル 1音(Trill WT)トリル 1音半(Trill min3)トリル 2音(Trill Maj3)
- 【8】最後に
【1】UI Standard Guitarとは?

「紫式部」氏が開発した楽器音源シリーズ「Unreal Insturments(UI)」の、ギター演奏を収録したプラグインです。
実際のギターの演奏をサンプリングしており、MIDIとしてDAWに打ち込んだり、MIDIキーボードに接続して生演奏に用いたりすることができます。
単体では動作せず、使用にはサウンドフォントプレイヤー「Sforzando」が必要になります。
【2】Sforzandoとは?

サウンドフォント(いわゆる外部音源)を演奏するためのプレイヤーです。
こちらのプレイヤーを介して音源を読み込むことにより、DAW上での演奏が可能になります。
サウンドフォントは基本的に高品質・高音質なものが多く重宝しますが、その分容量というか、CPUにかかる負荷も多めです。
PC性能に自信のない方は、むやみに何個も立ち上げない方が無難です。
【3】ダウンロード・導入方法
Sforzando
まずはStandard Guitar起動に必要なSforzandoを手に入れましょう。
こちらのリンクへ飛びます。
ページ中断の「Download for free」ボタンをクリック。

今記事はLogic上での動作を想定しているので、「for mac OS」を選択。

ダウンロード後、ガイドに沿ってインストールすれば完了です。
Standard Guitar
続いてStandard Guitar。
リンクへ飛び、「Free Download」をクリック。

とりあえずデスクトップなどわかりやすい場所にダウンロードし、解凍。
これで下準備は完了です。
【4】DAWでの起動方法
まずはSforzandoを起動しましょう。
トラックの新規追加から「ソフトウェア音源」→「音源:AU音源」→「Plogue Art et Technologie」→「Sforzando」を選択します。

Sforzandoがトラックに挿入されました。が、これだけではまだ演奏できません。
Standard Guitarを読み込ませましょう。
メイン画面を開きます。
左上の「empty」→「import」をクリック。

ダウンロードした「UI_Standard_Guitar」フォルダを開き、「Standard Guitar.bank.xml」を読み込みます。

これでSforzandoのライブラリにStandard Guitarが追加されました。
あとは「empty」→「Standard Guitar」で使いたいパッチを選択すればいよいよ起動です。

【5】各パッチの紹介
Standard Guitarには用途に応じ、6つのパッチが用意されています。
それぞれ見ていきましょう。
Standard Guitar KSOP
キースイッチ(KS)を用いて奏法を変化させるパッチ。
キースイッチとは、指定の鍵盤を押す、もしくはピアノロール上の指定された位置にMIDIノートを配置することで奏法を変える機能のことです。
Standard Guitar VSOP
ベロシティスイッチ(VS)を用いて奏法を変化させるパッチ。
ベロシティの数値(0~127)によって奏法を変える機能です。よって、音量の変化はコントロールチェンジの値で設定することになります。
また、KSOPよりも使える奏法が制限されてしまいます。
上記二つのパッチはこちらの記事で別途解説しています。
Standard Guitar KSOP X-Tracking
Standard Guitar VSOP X-Tracking
ダブリング用パッチ。
ダブリングとは、同じフレーズを弾いた音源を二つ用意し、左右に配置することで迫力を出すテクニックのこと。ギターのレコーディングに欠かせない技法です。
このパッチを選択したトラックを用意することにより、自然なダブリング感を演出することができます。
Guitar Chord Central
弾いた鍵盤の音をルートとしたコードが鳴るパッチ。
コードの種類はキースイッチで指定します。
例えば、キースイッチを「Major7th」にした状態でCの音を弾くとCメジャーセブンスコードが鳴る、といった具合です。
転回系など細かい変更はできないので、やや使いにくいかも…
Simple Arpeggio

その名の通り、単音アルペジオをシンプルに鳴らせるパッチ。
そのためか、他のパッチより弦の倍音がやや強めです。
【6】コントロール画面解説
一番多用するであろう、KSOPとVSOPのコントロール画面を解説します。
こちらの数値やノブで、奏法の細かい変化を調整することができます。

1.Vibrato
ビブラートのかけ具合を調整。数字が大きいほど深くかかる。
Depth:ビブラートの強さをコントロール
Speed:ビブラートの速さをコントロール
2.Length
音の長さを調整。
Mute:パームミュートの長さをコントロール
Sustain:「余韻を長く収録したサンプルが再生される」と説明されているのですが、正直なところ違いがわからず…
3.Release
弦から指を離した時の、音の種類と音量を調整。
Shape:全7種の音から一つを選択
Level:選んだ音の音量をコントロール
4.Slides
スライド(指を弦の上で滑らせるテクニック)のコントロール。
スライドダウン・スライドアップ・スライドインのスライド距離を調整。
数字が大きいほど距離が大きくなる。
Legato:スライドダウン・スライドアップの距離をコントロール
Attack:スライドインの距離をコントロール
5.Picking
ピッキングノイズの音量を調整。
右に回すと強くなる。
6.Micro
ピックが弦に触れた時の強さを調整。
右の回すと強くなる。
7.N/A
特に割り当てなし。
8.Magnet
ピックアップ(ギターのボディに付いている、弦の音をアンプに送る装置)のサウンド感を調整。
右に回すほど高音が強調される。
9.Resonance
「低音部の共鳴量を調整」とのことですがこちらも違いがわからず…
10.Unison Speed
ユニゾンチョーキングのスピードを調整。
右に回すほどタイミングがずれる。
11.Bend Start
チョーキングのスタートポイントを調整。
右に回すほど遅くなる。
12. Bend Speed
チョーキングの音程が上がるスピードを調整。
右に回すほど遅くなる。
13.Trill Speed
トリルのスピードを調整。
右に回すほど間隔が遅くなる。
14.P5 Switch
オンにすると、サステインアップ・サステインダウン入力時に自動的に5度上の音が鳴る。
「Cの音を弾いたとき、5度上のGも一緒に鳴る」といった具合。
15.サステインペダル
オンにするとサステインが伸びる。
三つペダルが並んでいるが、機能するのは右端のみ。
【7】Standard Guitarに収録されている奏法
本プラグインには、主要なものは大体網羅しているといっても過言ではないほど多くのギター奏法が収録されています。
参考音源とともに一つずつ見ていきましょう。

サステイン ダウン(Sus Down)
サステイン アップ(Sus Up)
サステイン オルタネイト(Sus Alt)
それぞれダウンストローク、アップストローク、オルタネイトピッキングを再現。
一番基本とも言える奏法です。
コード弾きをジャカジャカ鳴らしたい時はオルタネイトがおすすめ。
パームミュート ダウン(Mute Down)
パームミュート アップ(Mute Up)
パームミュート オルタネイト(Mute Alt)
パームミュート(手のひらで弦を抑えミュートするテクニック)を再現。
こちらも連続で鳴らす時はオルタネイトが良いでしょう。
スライド ダウン(Slide down)
スライド アップ(Slide up)
スライド イン(Slide in)
スライド アウト(Slide out)
弦の上を指を滑らせて音程を変える、スライドを再現。
ブラッシング(Brush)
ブラッシング奏法(ミュートした弦をストロークする奏法)を再現。
リズミカルなフレーズを作るときに便利。
フレットミュート(Mute Fret)
フレットミュート(弦を抑える側の指でミュートするテクニック)を再現。
ナチュラルハーモニクス(Natural Harmonics)
特定のフレットをピッキングして高音を出すテクニック、ナチュラルハーモニクスを再現。
ピッキングハーモニクス(Picking Harmonics)
ピッキングした直後に、ピックを持った手の親指を弦に当てて高音を出すピッキングハーモニクスを再現。
ギターソロのワンフレーズなどで使うと効果的です。
ハンマリング プリング(Hammer Pull)
ピッキングではなく、指でフレットを叩いて音を出すハンマリング・プリングを再現。
ギターソロで使うと有用です。
チョーキング 半音(Bending HT)
チョーキング 1音(Bending WT)
チョーキング 1音半(Bending 1HT)
弦を持ち上げて音程を上げるチョーキングを再現。
ユニゾンチョーキング 自動(Unison Bend Auto)
ユニゾンチョーキング 手動(Unison Bend Manual)
チョーキングと、普通に抑えたフレットの音を同時に出す、ユニゾンチョーキングを再現。
ポルタメント(Portament)
音から別の音へ曲線のように音程を変えていく、ポルタメントを再現。
トリル 半音(Trill HT)
トリル 1音(Trill WT)
トリル 1音半(Trill min3)
トリル 2音(Trill Maj3)
ハンマリング・プリングを繰り返す奏法、トリルを再現。
【8】最後に

UI Standard Guitarの紹介・導入編は以上となります。
メリット
・完全無料
・実際のギター演奏をサンプリングした、良質な音源
・奏法、アーティキュレーションも充実
デメリット・注意点
・単体では動作せず、「Sforzando」の導入が必要
・仕組み、操作を覚えるまで少し大変
・質が良い分、PCへの負荷もそれなりにかかる
次はいよいよメインプログラム。
【Part.2】~打ち込み実践編~ に続きます。
シリーズ「UI Standard Guitar」
【Part.2】これが無料!?ギター音源「UI Standard Guitar」解説 ~打ち込み実践編~
【Part.3】これが無料!?ギター音源「UI Standard Guitar」解説 ~コントロールチェンジ編~